2・自動車の準備、基礎知識
冬道を運転する際、運転に気をつけるのはもちろんだが、それだけでは雪国のウインターシーズンを乗り切る事は出来ない。
ここでは、ウインタードライビングに必要な自動車の準備を紹介しよう。
・スタッドレスタイヤ
準備編にも書きましたが、冬道はドライバーの技量や自動車の性能ではまともに走ることが出来ません。
(プロのレーシングドライバーがF1レーシングカーに乗っても、まともに走りません)
昼の気温が7度以下である時は、躊躇なくスタッドレスタイヤに換装しましょう。
本来は毎年買い換えるのがベストですが、基本的にメジャーブランドで3年落ち以内のスタッドレスタイヤさえ装着していれば問題ありません。
スタッドレスタイヤに多い誤解が、「絶対に滑らない」タイヤではないということです。
冬の道路はどんなスタッドレスタイヤであろうとズルズル滑ります。
・冬用ワイパーフレーム・ワイパーブレード
夏用ワイパーでは冬季に凍ってしまい、動きが悪くなります。
さらに、雪がフロントガラスの端に溜まってしまい視界不良となります。
ここで登場するのが冬用ワイパー。
冬用ワイパーなら凍りにくいし、フロントガラス端に雪がたまりにくいです・・・が。
実のところ、新潟では夏用ワイパーでも普通に過ごせます。
北海道を初めとする厳寒地なら必需品なのでしょうが、新潟では必要性を感じません。
「フロントガラスに氷が張り付いて視界不良」「雪がすぐに固まってしまい、視界不良になる」という方は、試してみてください。
・冬用ラジエタクーラント
エンジンを冷却するラジエータの中には冷却水が入っています。
この冷却水の水純度が高いと、凍りやすくなります。
万が一ラジエタの中で凍ってしまうとラジエタが破損する可能性があります。
冬季には濃度の高いラジエタクーラント(LLC)を入れましょう。
・冬用ウォッシャー液
これはウォッシャー液が減ってきたらで良いのですが、普段は薄めて使用しているウインドウウォッシャー液を原液のまま使用します。
そうでないと、ウォッシャー液使用時に窓が凍りつくという本末転倒な事態が発生するかもしれません。
・自動車の駆動形式は?
自動車の準備と言うと、駆動形式を非常に気にする方がいるようです。
基本的に日本国内で売られている乗用自動車であれば、新品スタッドレスタイヤさえ装着していれば駆動形式は問題になりません。
それでも駆動形式が気になる方もおられるでしょうから、概略を記します。
FF(前方エンジン・前輪駆動)形式
・発進時にホイールスピンしやすいが、ホイールスピンしても前進する。しかしスタックしやすい。
・ラフな運転には比較的強く安定して走ることが出来るが、カーブ入り口では慎重に走る必要あり。
・曲がった後の挙動は比較的安定している。
・一度曲がらずに滑り出すと復帰は困難。
・比較的リアが暴れやすく、リアが暴れた際の復帰は難しい。
FR(前方エンジン・後輪駆動)形式
・発進時にホイールスピンしやすく、その場合リアが暴れやすい。
・ラフな運転に弱く、直進していてもいきなり向きを変える事がある。
・カーブではあまり気を使わなくても曲がれるが、曲がった後にスピンしやすい。
MR、RR(後方エンジン・後輪駆動)
・発進時にホイールスピンしにくいが、ホイールスピンした時はリアが暴れやすい。
・ラフな運転に非常に弱く、直進も安定しない。 ・カーブ入口では慎重に曲がる必要があるが、曲がった後の加速からの挙動は安定している。
・一度曲がらずに滑り出すと、復帰は困難。
4WD、AWD(四輪駆動)
・発進時にホイールスピンしにくく、ホイールスピンしても前進する。
・ラフな運転に比較的強く、直進しているうちは安定している。
・カーブ入り口では慎重に曲がる必要があり、曲がった後にもリアが暴れやすい。
・一度曲がらずに滑り出すと復帰は困難。
・しかし曲がって滑った場合は復帰が容易。
表にまとめるとこうなります。
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FF |
FR |
MR・RR |
4WD・AWD |
発進
|
△
|
△
|
○
|
○
|
直進
|
○
|
△
|
△
|
○
|
カーブ入り口
|
×
|
○
|
△
|
×
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カーブ出口
|
△
|
△
|
○
|
△
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良く四輪駆動乗用車が雪の中へ突っ込んでいるのは、まさしくカーブ開始時の曲がりが悪いためなのです。
カーブを抜けて安心し、アクセルを踏み込んでも…リアが暴れてスピンすると言う事もあります。
クルマがそのままカーブの外側に流れてゆく事もあります。
一般的に4WDが強いのは、発進のみです。
今まで冬道でFF、FR、RR、4WD、AWDという乗用車に乗ってきましたが、FRだから冬道が走れないと言うことはありませんし、4WDだから冬道に強いと言う事はありません。
私はFRのMarkUやRX-8で降り積もる雪の中をガシガシ走っていましたし、今もそういう方が多く走っています。
そしてAWDのインプレッサでも、冬道でも気が抜けません。
高速道路走行中の走行安定性を求めてAWDシステムを選択したのであり、冬道を走るためにAWDシステムを選択した訳ではないのですから。
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